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(2)-2◆映画アルバム・大川橋蔵傑作写真集◆から(雑誌映画ファンより)

(2)◆映画アルバム・大川橋蔵傑作写真集◆からの抜粋(1959年映画ファン9月号より)の⓮の続きになります。


⓯2023.3.29掲載
🎞️喧嘩道中
橋蔵の本格的股旅ものの第一作目である。颯爽一本刀の旅姿に、ふとしのびよる哀愁のかげは、股旅ものにはめずらしいリリシズムにあふれ、新しき股旅ものの誕生といわれた。

🎞️深夜の死美人
橋蔵の殺陣のすばらしさは、六代目の授けられた日本舞踊の素地の上に立った本格的なものである。一分の隙ない構え、一寸の乱れもない太刀さばき。詩に通じる美しさであった。

🎞️鮮血の晴着
六代目菊五郎の養子として、気品と風格をもって育てられた橋蔵だが、良家の子弟にありがちな冷たさや気取りがみじんもない。この性格はそのまま若さまの性格でもあるのだ。

🎞️修羅時鳥
吉川英治の初期の代表作であるこの映画で、橋蔵はその主人銀壮太郎を演じた。一徹な生真面目な青年武士の面目を、橋蔵はいかんなく発揮したが、これは橋蔵そのものである。

🎞️大江戸喧嘩纏
粋で、いなせな纏もち。ほれぼれとする勇み肌に鉄火のたんか。江戸っ子橋蔵の鋭角的、魅力を十二分に描いたこの作は、おなじみの喧嘩のクライマックスとともに印象深い。

🎞️任侠清水港
橋蔵にとって忘れえぬ東映オールスタア正月映画の初出演であり、初のやくざ役であった。清水四十八人衆の一人追分の三五郎に扮して、親友の錦之助の森の石松の仇を見事にうった。



⓰2023.4.17掲載
🎞️七つの誓い
NHK連続放送劇の映画化。東映時代劇が誇る橋蔵・錦之助・千代之介の若手三羽烏が、文字通り日本一の時代劇トリオとして大きくクローズアップされた記念すべき大作であった。この作により、新しい娯楽時代劇の黎明がおとずれたといっても過言ではないであろう。

🎞️朱鞘罷り通る
名優中村仲蔵に扮した橋蔵は、映画界に入る前に歌舞伎でならしたすばらしい演技の冴えを見せて、映画ファンはもとより歌舞伎ファンからも絶賛の拍手を受けた。錦之助・橋蔵という二大スタアの実力は、歌舞伎で学んだ演技の確かさによって培われたものである。

🎞️若衆変化
橋蔵・ひばりの"おしどりコンビ"が変身の芸を競う娯楽大作であったが、二人の役の変化のすばらしさは目を奪うものがあり、橋蔵・ひばりならではのものだと評家の絶賛をあびた。二人の呼吸のあったすばらしい演技の数々はファンの脳裏から永く去らないだろう。

🎞️富士の夜襲
昭和31年度芸術祭参加作品"富士の夜襲"は東映オールスター出演の豪華絢爛の大絵巻であった。橋蔵は、曽我兄弟の真情を心から理解し、その壮挙の立派さを賞賛する青年武士梶原景時の心理をよく表現し、歌舞伎の腹芸に見る重厚な演技を見せて好評であった。




⓱2023.5.20掲載
🎞️ふり袖太平記
橋蔵の清冽無比な剣の美とひばりのすばらしい歌になる"ふり袖コンビ"は、ここに時代劇最高の人気を呼んで好評であった。

🎞️海の百万石
剣を持たぬ橋蔵、殺陣のない作品。舟橋聖一の傑作"海の百万石の映画化で、好学の青年要蔵を演じた橋蔵は芸の深さを見せた。

🎞️復習侠艶録
名女形と歌舞伎時代、その将来を注目されていた橋蔵はこの作品で、女に扮し、その水もしたたる美しさと色気にファンの拍手をあびた。

🎞️魔の死美人屋敷
橋蔵の秘剣、一文字崩しが誕生した記念すべき作品であった。この秘剣が生まれるや、橋蔵の殺陣は一段とすばらしさをました。

🎞️江戸三国志
次代将軍になる身でありながら、大名生活を嫌い青春の夢を遠くローマにはせている徳川万太郎は橋蔵の持つ雰囲気、性格そのままである。青春の夢と意気を描いて、若き世代に激賞された作品。

🎞️あしどり囃子
宮神楽、土師流の家元総右衛門の一番弟子菊次に扮した橋蔵は、ひばりとともに獅子舞を踊ったが、その気品と張りはさすが舞踊の名手の名に恥じぬ堂同たるもので観客の目を奪うものがあった。



⓲2023.6.1掲載
🎞️べらんめえ活人剣
"笛吹若武者"で華々しくデビューした橋蔵に活目した故マキノ光雄は、橋蔵の持味を十二分に発揮させるべきシリーズ物"若さま侍捕物帖"を企画した。名企画者と名優の美しい出合いであった。

🎞️地獄の皿屋敷
橋蔵の持つ魅力のすべて、美貌、気品、気取らぬ親しさ、理性・・・等、俳優としてのすべてを発揮したこの"若さま侍シリーズ"が、橋蔵を一躍トップスタアの座に進めたのは当然である。

🎞️謎の決闘状
橋蔵の第二回出演作品は、市川右太衛門十八番の"旗本退屈男・謎の決闘状"であった。橋蔵は"つむじ風の半次"として出演したがその新鮮な演技は、早くも評判になった。

🎞️笛吹若武者
平家の斜陽の美しさを象徴する薄命の武人・平敦盛の運命を橋蔵は、デビュー作とした。今までの映画にない美しさと哀しさを表現した橋蔵は、革命的スタアとなったのである。



⓳2023.618掲載
🟣日本舞踊と橋蔵さん
♣️日本舞踊・橋蔵さんの心には亡父六代目の面影が浮かぶのです。

♣️義経千本桜、吉野山狐忠信を踊る橋蔵さん。

♣️“江島・生島”の生島の悲劇を踊る橋蔵さん。

♣️“お祭り”を踊る橋蔵さんのあでやかな女姿の美しさ!



⓴名選手、橋蔵さん
剣を持てば、鬼神もこれを避ける。秘剣一文字崩しの持主、橋蔵さんはまた大のスポーツマン。スマートな体に粋なユニホーム姿、バットを構えれば、相手投手をふるえあがらせる強打の持主です。
好守、好打、好走、名選手トミイのグランドの活躍をカメラでさぐれば・・・
⑴ 試合前の一時、"ホームランを打とうかなA"ごきげんのトミイ。

⑵ "僕の一発で決めようか!"自信満々の橋蔵さん。

⑶ 東映コワイヤーズの猛者連、美しき応援団にまもられて無敵の表情です。

⒋ 二死満塁、バッタートミイ、打ちました。球はグングン外野の柵へ



㉑海と雲と橋蔵さん
明朗、快活な橋蔵さんは海が大好きです。仕事の合間をみては、橋蔵さんの足は海へむきます。泳いで、笑って、陽に焼けて・・・童心にかえる橋蔵さんは、海で明日への飛躍のエネルギーをキャッチするようです。

1. 橋蔵後援会の仲良しと橋蔵さんは8月の1日海へ遊びました。

2. 山中くんの記録に挑戦しようかなぬ!?

3. どう僕の泳ぎも一寸したものだろう。

4. 海から上がれば、カメラノ波です。

5. 大きな夢、限りなき前進をつづける橋蔵さんは青春のシンボルです。




㉒ぼくのロケ日記
■冬でもドブンと水の中、夏でも冬の大名衣装、ロケもはた目ほど楽ではありません。でも、根っから好きなこの道、苦あれば楽しい思い出が・・・(橋蔵) ■
 


◇6月19日 クランク開始
待ちに待った新吾十番勝負(第二部)のクランク開始。
第二部で一番やりがいのある勝負は山村聡さん扮する日本駄右衛門との一騎打ち。山村さんのあの重厚な演技力に圧倒されないようにがんばらなくては。
「この間、新吾十番勝負をみましたよ。あの映画の新吾は本当にティーンエージャーらしい若さに満ち溢れて
いたので、本物の橋蔵さんがこんなりっぱな青年紳士であることをすっかり忘れていましたよ」と山村聡さんにひやかされ、すっかり恐縮してしまった。
午前中いっぱい宣伝スチールを撮る。第一部のときは両親を知らぬ山の子としての暗さが出ていたが、第二部はそうした宿命に負けず、剣一筋に生き抜く新吾のたくましさを出そうと表情に注意する。
病気中のマコがとても第二部に出たがっていたから、せめてスチールだけでも送ってあげようと、宣伝部の人に依頼しておいた。
3時頃で撮影終了。明日からはフルに忙しくなるから、前々からみたいと思っていた「熱いのがお好き」をこの時とばかり見に行く。

◇6月25日 ロケ中止
このニ三日雨模様の曇天続きなので、ロケの多い新吾十番勝負の撮影がなかなかはかどらない。
昨日も朝は、青葉をとおして真夏の日差しを思わせる太陽が輝いていたのに、昼からは雨雲がたれこめて、ロケ中止。
日本駄右衛門の山塞を襲うシーンなので、100名のエキストラと30頭近い馬が、近所の民家の庭先を借りて、ピーカン待ちとしたが、遂にその日は太陽の光がささず涙をのんで引き上げることになった。午後5時---全くツイていない一日でした。

◇6月26日 山村剣法
「ワアお天気だ」朝起きたとたん、すっかりご機嫌になってしまった。今日は琵琶湖よりの貫井橋ロケ。梅雨模様の日々もやっと終わったらしく、カッと照りつける太陽のもとで、すべてがカラリとかわききったような感じである。
8時出発。第三番勝負の相手日本駄右衛門との顔合わせがあるので、新吾は朝から落ち着きません。
「ヤァ。何しろ僕はあまり時代劇に出たことがないから、立ち廻りの時はよろしく」という山村さんのご丁寧に、すっかりドギマギしてしまったが、いよいよ撮影に入ったらとんでもない、芸の偉大さといおうか、剣の先々にまでほとばしる殺気にさすがの新吾もタジタジ。
殺陣師の足立さんも「山村さんの剣法はリアルで個性がはっきりしてますネ」と、これ又ベタぼめで、好調のうちに撮影終了、新吾こと橋蔵の大収穫の一日であった。

◇7月2日 よろめきません?!
久しぶりのセット 。 余りロケ づくめだとセットの撮影の感が鈍り、 折角の新珠路三千代さんとの顔合わせ なのに、撮影開始早々NG 続出で申し訳なし。
しかし 午後からは大分調子を取り戻し、 テスト 1回ですぐに本番。 どうにか小沢先生の予定通りの進行 切りとなった。
シーンは 鹿島神宮祭礼の警護にあたり 鹿島の佐吉は自源流の手ほどきを受けているが、その縄張りを狙う悪代官 一派の陰謀を恐れ、妾腹の娘である 新珠三千代とんに命じ、 その色香で新吾を 鹿島に滞在させようとするところ。 寂しげな瞳の新珠さん、料理屋の離れの下を流れる せせらぎの音、ものうげな三味線の音色、 何とも言えない粋な雰囲気の中におつぽり出されれば 、 並みの男なら よろめきたくなるのが普通だが、 ドッコイ新吾 たるものは断じて そんなことは許せない。
「 橋蔵君、そんなに 残念そうな顔をするなよ」
小沢先生にからかわれてカックン。だって新珠さんみたいな美女を目の前にしたら、誰だって顔の筋肉が緩んじゃうよ。

7月5日 「カット」の声に!!
昨夜、 午前5時頃 撮影があったので、 今日は午後3時 撮影開始。 仕事に入る前は眠くて眠くてたまらなかったけれど、 セット入りしたら途端に目が覚めてしまった。
セットの中には ススキが一面に植えられ、なんとなく秋の雰囲気にみちみちている。親のように 慣れ親しんできた梅井多門が武田一真との真剣勝負にやぶれ、 ついに 剣客としての一生を終えるシーン。 新吾はその直後に決斗の場に駆けつけ一心への復讐を誓う。 ラストの幕切れとなるシーンだけに、撮影前に小沢先生と慎重な打ち合わせ。あまり 動きのないこのシーンは、微妙な心の動きを表情で表現しなくてはならないので、スタッフの皆さん方も雰囲気を盛り上げるためほとんど身動きひとつ しない。ただキャメラだけが、 遠く近く新吾の表情を捕えて、縦横に動き回っている。身にしみるような清じゃく、そして新吾が叫ぶ。「 新吾は必ず一真を斬るッ」。 そしてまた静寂、小澤先生の「カット 」というから強い声を聞いたとたん、体がぐったりとしてしまった。

8月11日 「恋山彦」開始
今からいよいよ「恋山彦」のクランク・イン。 この作品は20年ばかり昔、同じ マキノの先生監督、一世の名優坂東妻三郎さん主演で映画化されただけに、なりいい加減な演技もできず、いつになくあらたまった気持ちで クランク・インの日を迎えた。
ことにこの作品は純然たる二役物で、 一方の伊那の小源太は平家の末裔で伊那の山中にあって世塵をあびぬ山男のような若者、今1人の島崎は栄耀栄華におごる元禄時代の江戸にあって、世をすね虚偽的な生き方をしている剣剣客、この2人は同時代にあって 全く対照的に人物である。この2人の名源弦「山彦」めぐって活躍、それにお品、おむらという 2人の女性が絡んで伊那から江戸へ、 そして 伊那へと4人の感情と行動がエコー しあうから題名を「恋山彦」としたというマキノ先生の説を伺っているうちに、巾着切りのおむら姐さんに扮したさとみちゃんが「オハヨー」と元気いっぱいに飛び込んできた。フランク 第1日目は江戸の島崎無二斉とおむらの ラブシーン。 ラブシーンと言っても、おむらことさとみちゃんの 一方的なモーションなので 、根が純情なさとみちゃんのこぼすこと、 こぼすこと。しかし いざ 撮影が始まると、全く体当たり的くどきを敢行、撮影終了後「 さとみちゃんには姐御的要素があるんだナー」とマキノ先生にからかわれ、 穴があったら入りたいような顔をしていた。

8月20日  殺人的暑さ!
午後1時からオープンセット、 伊那の小源太が平安朝時代の甲冑に身をつつみ、黒山のような 江戸の人々に迎えられて、将軍綱吉との対面の場に向かうシーン 。
小道具さん、 衣装部さんの心づくしの甲冑はあでやかにも美しいが 、33°cを超える日中の撮影ではまるで蒸し風呂に入っているような苦しさ。「江戸の人々の憧れの的 なんだから、若武者ぶりも 勇ましく涼しげな 表情をしていなくてはダメだよ」とマキノ先生から ご注意があったが、馬の背に揺られるたびに体中から汗が吹き出し、カット 、カットの切れ目に慌てて メイキャップをやり直さなくてはならない。「 いつも涼しそうな顔を」と錦ちゃん達に よく羨ましがられたが、 今日ばっかりは全くまいってしまった 。
水を飲み、 汗を拭き、 メイキャップを直しながら、この江戸入りのシーンを撮り終わったのが6時頃。 「お疲れさき」の声とともに、すぐさまお風呂に直行、すっかり汗を流してから7時半第6ステージで宣伝スチールを撮影。
まずまずお苦しみの一日だった。

8月24日  平安朝のベッドシーン
今日はぐっと変わってベッドシーン。とはいっても平安朝時代の生活を続ける小源太とお品のラブシーンだから、今の時代とは異なり大人しい みやびたもの 。
奇しき縁で夫婦の誓いを結ぶようになった小源太とお品が、初めて 持った2人だけの夜-- 白ムクの絹の着物を着た2人が永遠に離れじと抱き合う。恵子ちゃんとのラブシーンはたくさん撮ったけれど、 ベッドシーンは初めてなので、 初めのうちはモタモタしていたが、マキノ先生の熱っぽい 演技指導のおかげで、いつの間にか感情を移入することができた。マキノ先生の演技指導は定評あるもの。
或時は小源太、或時はお品になりきって、アクションをつけるマキノ先生のうまさに唯々呆然とするばかり。殊に女役なんかになると、男の僕でも ふらりとなりそうなお色気を感じさせる。
日頃恥ずかしがりやの恵子ちゃんもすっかり役に入り込み、「恵子ちゃん、いいぞ」とマキノ先生の掛け声がかかった。
おかげで今日は定時終了、夜久しぶりに大友先輩と痛飲する。

9月1日 結婚歴 20回 ?
伊那のは平家村 、宗経館の大広間。お品と小源太の結婚の披露宴のシーンである。
「橋蔵君と恵子ちゃんは結婚しても、姓を変える手数が省けていいネ」とマキノ先生にからかわれたが、初めて2人が共演した頃は、ファンの方々から毎日のように「大川恵子さんは妹さんですか 」とかひどいのになると「いつ結婚なさったのですか」 と聞かれて、本当に困ってしまった。あれからずいぶん恵子ちゃんと共演したけれど、 結婚式をあげたのはこれが初めて。おまに平安時代の雅やかなものなので、芝居とは思いながら、何かしら 心の中がひきしまる。恵子ちゃん花ムコさんを横目でににらみなかがら、
「男の人って羨ましいワ。 何しろお品とおむらを両手に花なんですもの」とボヤいていたが、お品の恋人は小源太、おむらのは無二斉と、全く違った人物だというのを忘れているんだから困る 。
「結婚式早々やきもちを焼くお嫁さんなんて初めてだよ」っていったら、
「橋蔵さんはもう結婚歴20回目ぐらいじゃないの 。何しろ私はまだホンの2、3回でまだ慣れませんもの」と見事 一本やられてしまった。
とにかく一人二役というものは何回やってみても難しいものだと、 一人頭を悩ました。


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